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(12/12) ネパール医療チームvol.17 「自立した子に」 [2010年12月12日(Sun)]
〜 自立した女性になってほしい 〜


ランジャナ・ラマ(Ranjana Lama)ちゃんは3歳の女の子。3人きょうだいの末っ子で、ランジャナちゃんだけが右の唇が少し裂けている、口唇裂の子どもでした。
ランジャナちゃんは、手術を行なっているシーア記念病院から歩いて1時間ほどのところに住んでいます。今年、来院した患者さんの中では最も近くから来た何人かの患者さんのうちの一人でした。




実は、ランジャナちゃんの両親は2009年のCLPPの時にも来院していたのですが、その時は全身麻酔をかけて手術をするには体重が軽過ぎたため、手術を見合わせることになりました。
3歳にしては、まだまだ体は小さく見えましたが、手術ができるぐらいには体重が増えていたため、満を持して今回のCLPPで手術を受けることになりました。


このランジャナちゃん、手術を受けた日とその翌日はあまり元気がなかったのですが、術後2日目から良い方向に状況が一変。
その小さな体のどこに入っていくんだろう?と不思議になるぐらい、食事のたびにスープやザウロ(お米と豆で作った、お粥のようなもの)を深皿1杯、あっという間に平らげてしまいました。





食事がしっかり取れるようになるにつれ、手術の痛みも引いていったのか、病棟ではスヤスヤと眠りにつき、起きたと思えばケラケラと笑いながらお母さんや病棟看護師さんとじゃれ合ったり、裸足でペタペタと病棟から出ていってしまったりと、とても元気な子でした。
また、隣のベッドに入院している子がぐずったり、看護師さんが来ていたりすると、「なに、なに?」といった表情で覗きこんでくることもあり、3歳ぐらいの子ならではの好奇心いっぱいの様子で入院生活を過ごしていました。
ランジャナちゃんの明るい笑い声と屈託のない笑顔は、病棟を一気に華やかにしてくれました。



左端がランジャナちゃん


そんなランジャナちゃんの表情がちょっとだけ曇るのが、毎朝の形成外科の先生による回診の時。
手術を受けたあとは、縫合した部分がきれいになっているかどうか、感染や壊死などを起こしていないかを確認するため、日本人の先生方が毎朝、患者さん全員の回診を行います。
病棟に、回診を嫌がる子ども達の泣き声が響く時間でもあります。

ところがランジャナちゃんは、先生をぐっと睨みつけてはしまうものの、泣いたり叫んだり、先生が手術をした部分に処置をするのを嫌がったりせず、じっと我慢してくれていました。
5歳ぐらいの子でも、場合によっては嫌がって泣いたり、何とか逃げようとして親や看護師さんに押さえつけられてしまうこともある中、ランジャナちゃんの姿はとても立派なものでした。





回復がとても順調だったことと、口蓋裂に比べて入院期間が短くて済む口唇裂の患者さんだったこともあり、ランジャナちゃんは術後6日目には、迎えに来たお父さんと一緒に元気に退院していきました。





ランジャナちゃんのお母さんは、ランジャナちゃんが生まれた時、自分やランジャナちゃんの前世が良くなかったと言われ、嫌がらせを受けたそうです。また、旦那さんのお父さんからも嫌味を言われてしまい、そのことが自分だけでなく、旦那さんのストレスにもなっていたそうです。
手術を受けたことで、もうそんなストレスから解放されることが、嬉しくてたまらないといった様子でした。

お母さんは、ランジャナちゃんの将来について、「自立した女性になってほしい」と願っているそうです。
お母さん自身、学校は5年生までしか通っておらず、読み書きは少ししかできないということもあって、ランジャナちゃんと、ランジャナちゃんの2つ年上のお姉さんには、自分の足で社会の中に立ち、生活していけるような強い女性になってほしいと考えているようでした。


入院中のランジャナちゃんは、いつも明るく、元気で、お母さんが止めるのも聞かずに病棟中を歩き回るような、快活な女の子でした。
ネパールは、今はまだ女性が社会進出をするのが難しいと言われることもあります。ですが、あの小さな足でトコトコと病院を歩き回っていたのと同じように、これから先も明るく笑いながら、お母さんの願うように一歩ずつ、しっかりと歩いていける女の子になってほしいと、私たちも祈っています。

(文責:須原敦)

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Posted by ADRA Japan at 00:07 | ネパール口唇口蓋裂 | この記事のURL