• もっと見る
«(9/5)【スタッフのつぶやき】ADRAスタッフの子育て〜中1次女の夏休みの宿題〜 | Main | (9/11)【メディア掲載】事業部長の橋本がラジオに出演します。»
ADRA Japan団体概要

ADRA Japanさんの画像
最新10記事
記事カテゴリー
<< 2023年04月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
https://blog.canpan.info/adrajapan/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/adrajapan/index2_0.xml
(9/8)東日本大震災 被災者・復興支援–127 職業講話@小浜中学校 [2014年09月08日(Mon)]
7月1日、パティシエの渡部幸史さんに福島県二本松市立小浜中学校にお越しいただきました。渡部さんは福島県南相馬市小高区に「菓詩工房わたなべ」という地元で有名なお店を構えていらっしゃいましたが、原発事故により避難を余儀なくされました。現在は避難区域外で新しい店舗の開店準備をしつつ、全国各地にて講演を行なっておられます。

渡部さんは最初に30分ほどの講話をされた後、塩ケーキ(甘くないケーキ)の調理実習を指導されました。先生たちは、この講話と実習の目的として「三年生が本物のパティシエの方からお仕事やケーキ作りについて学び、真剣に自分たちの将来の職業について考え、進路を決めるための一助としたい」と話していました。


fukushima syokugyoukouwa1.jpg


渡部さんは講話や調理指導を通し、4つのことを生徒に気付かせようとしていらっしゃるようでした。

まず、主体性を持つこと。
渡部さんご本人はさほど料理面の指導はせず、生徒自身に考えさせておられる様子が伺えました。学年主任の先生も「自分でやることを見つけよう」などと生徒に声をかけていました。

次に、失敗しても問題ないということ。
失敗をどう生かすかが大切であって、なぜ失敗したか考え、間違いから学べば良いということを料理、さらにはご自分の経験を通して熱心に生徒さんに伝えておられました。

3つめは要領良く作業を進めることの大切さです。
ケーキ用の粉の分量を量るときも、効率良く作業を進めることと先を考えながら取り組むことをお話しされました。これは、ケーキ作りだけではなく、生徒たちが学校生活の中で次の日に向けた宿題や予習をするときも同じことです。全く違う事柄のように見えても、要領良くこなしていくことが肝心という点では変わりません。


fukushima syokugyoukouwa2.jpg


生徒は決められた分量を協力しながら要領よく量るように工夫していました。

最後にコミュニケーション力です。
渡部さんは近年、社会全体の子ども達のコミュニケーション力が欠如していることを指摘したうえで、社会に出たときには周りときちんとコミュニケーションを取ることが必須であるとおっしゃっていました。グループで協力しあいながら料理をすることによって、コミュニケーション力を伸ばす狙いがあるようでした。


fukushima syokugyoukouwa3.jpg


生徒たちが熱心に具材を混ぜている様子です。塩ケーキの材料はスパムや塩こんぶなど、家庭にある身近なものが多かったです。実習の後も生徒たちが自分の家でも作ることができるようにとの渡部さんのご配慮です。


fukushima syokugyoukouwa4.jpg


先生も見守る中、生徒が慎重に塩ケーキの生地を容器に入れていました。


fukushima syokugyoukouwa5.jpg


完成したケーキは、みんなで美味しくいただきました!


ケーキを作り終えた後、渡部さんが震災を経て大事だと思ったことを生徒たちにお話しになりました。
まずは、手に職をつける、もしくは資格を取ること。渡部さんの周りでは、震災後にいち早く生活を立て直すことができたのは仕事を見つけやすい手に職のある方々だったそうです。
次に、どんな職種でも希望・夢を持つことが何よりも大事で、給料よりもやりがいを感じ、他人に自慢できるような仕事を見つけるのが望ましいとのこと。
最後に、経営者として、売上よりもお客様や従業員に喜んでもらいたいという気持ちが大切だとおっしゃっていました。

将来パティシエを夢見ている生徒も実際にいて、その生徒はもちろんのこと、他の生徒たちも渡部さんの具体的な体験とそれを生徒たちに分かり易く伝えるお話しに感じることは多かったようです。
先生たちもこの講話と実習の目的を達成することができ、とても喜んでいました。

最後に生徒たちの感想を一部ご紹介します。

「お金をとることだけが仕事じゃないということがわかった。けれども自分の将来の夢は変えたくないので自分の気持ち、家族のことも考えながら将来を考えたい。」

「色々と失敗とかして悔しいと思ったけど中学生のうちは色々と失敗してそこから学べと言われ、肩の力が抜け、これからがんばろうと思った。国、数、英、理、社も社会人になってから色々必要なんだと思いました。」

「パティシエにはならないけれど、どの仕事にも共通する大切なことがたくさんあった。また、継続することや努力することの大切さ、『自分が1番自慢できことを1つ』など色々なことを学べた。」

「『おいしくない』と言ってはいけないなどあたりまえのことをしっかりやらなくてはならないと実感しました。」

「今やっている勉強、実技は将来にきちんとつながっているんだと聞いて、今を大切にしようと思えた。」


渡部さんと先生方の想いはしっかりと生徒たちに伝わり、生徒たちが将来について考えるきっかけとなったようです。

(執筆:ボランティア 松田悠介)
Posted by ADRA Japan at 18:50 | 東日本大震災 | この記事のURL