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富士山の「世界遺産」登録。次は「無形文化遺産」委員会![2013年06月27日(Thu)]

カンボジアの首都プノンペンにあるピースパレス(首相府新館)で開催された第37回世界遺産委員会で富士山の『世界遺産』登録が決定。歓喜の声が日本中のみならず世界中の日本人コミュニティーを賑わせた。

IMG_6002.JPG

オフィスから望む世界遺産会議の会場ピースパレス(首相府新館)


厳重な警備に包まれたピースパレスの小さな路地を挟んだ隣の建物に私の職場がある。「富士山」の審議が行われている間も、隣の建物でいつものルーティンワークに励んでいた。また、鍼の研究のため(ナゼか)富士山頂の観測基地に1週間滞在したという数奇な経験がある(!?)。身近に喜びが感じられた。

ここカンボジアにとっても世界遺産は身近な存在。世界的な考古学遺跡「アンコール遺跡群」(1992年)と「プレアビヒア寺院」(2008年)が世界遺産リストに。また、伝統芸能「カンボジアの王家の舞踊」(2008年)「スバエク・トム・クメールの影絵劇」(供に2008年)は(世界)無形文化遺産、ポルポト政権時代の負の遺産「ツール・スレーン虐殺博物館のアーカイヴス」(2009年)も世界記憶遺産にそれぞれ登録されている。

NHKの番組タイトルとして馴染み深い『世界遺産』。その対象の定義は「不動産」であること。世界遺産委員会に登録を申請するのは富士山を領土内に保有する日本国が行う。非常に単純明快。ところが2003年から始められた不動産以外の芸能(民族音楽・ダンス・劇など)、伝承、社会的慣習、儀式、祭礼、伝統工芸技術、文化空間を対象とした『無形文化遺産』の登録については、そう単純ではない。

日本からは能楽、文楽や各地の祭事などが『無形文化遺産』に登録されている。
島国で、ほぼ単一民族であるという認識のある日本人にとって何ら疑問を持つ事は少ないことだろう。しかし多くの国々は他民族で構成され複数の国で文化が共有されている事が多い。この『無形文化遺産』登録への申請も世界遺産と同じく無形文化遺産委員会からの推薦ではなく、各国が「これは他国には無い私たち独自の守るべき文化!」と推薦する事により始めて審議のテーブルに上がる仕組み。各国間では文化の既得権の問題が生じ、あたかもオリンピックのメダル数争いの様相も呈している。

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人類の口承及び無形遺産の傑作の分布(Wikipediaより)


リストを見ると「鷹狩り」や「ゾロアスター教の新年祭」が複数の国からの推薦で登録されている一方で、モンゴルの伝統的な歌唱技能「ホーミー」はなぜか中国が推薦国となっていたりする。

伝統医療のジャンルにおいても、平安時代から日本でも実践されている「鍼」が中国独自の医療伝統技術として登録され業界内では国際論争となった。守るべき文化として登録する事は大いに必要な事であるが、登録を前後に利権やモチベーション、それを生活の糧としている人々にも多大な影響が及ぶ。隣国や民族の感情というものも大いに考慮していく必要がある。

次の「無形文化遺産委員会」はアゼルバイジャンのバクーで今年12月に開催される。「タイ古式マッサージ」がタイから推薦されると言われている。ちなみにミャンマー、タイ、ラオス、は現在のカンボジア、古代クメール王朝時代から伝わる共通の伝統医療体系を共有しており地方によって特色が異なる。それらの差別化を研究していく事は、その文化を守っていく上で大変重要な事である。カンボジアの伝統医療師「クルクメール」もまた、クメール時代からの伝承を守り、カンボジアにとって長い植民地と内戦時代を通し国民の健康を支えてきた貴重な国の遺産である。しっかりとした調査を進め、いつの日か世界に向けて「無形文化遺産」として名乗りをあげてくれる日を夢想する!
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https://blog.canpan.info/acupuncture/archive/232
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