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パキスタン首都イスラマバードで大規模テロ インド最前線 The Actual India 第141回 [2008年09月21日(日)]

    《 ウィークリースポット Weekly Spot 》その3 5
        ≪速報 Special Spot≫

土曜日の宵、国際ホテルを攻撃
 20日、ようやく夕闇が覆ったパキスタンの首都イスラマバードのホテル・マリオット前庭、車寄せ付近で爆発が起こった。
 通常の自爆テロの規模をはるかに超えた爆発音は、市内中に轟いたと現地メディアは伝えた。時刻は正確には伝えられていないが、午後7時過ぎとおもわれる。
 爆発の場所は、ホテルの門を入って車寄せの外周、ロビーへのアプローチから35メートルほどのところだ。現地からの映像には、建設現場のように、地表から数メートルもえぐられた爆心地が映しだされた。周囲には衣服を剥がされた死体が散乱し、負傷者が微動しながら救援を待っている。
 悲惨、残酷、この上ない光景だ。
 ホテルの地上階、ロビー付近、そして3階部分からは炎が噴出し、夜空に舞い上がっている。
 館内から警官隊に補助され脱出する人びとが映しだされる。外国人も多い。
 土曜日の夕刻、宿泊客ばかりではなくパーティや集会、食事に訪れた人たちも多いはずだ。筆者も以前、ときには贅沢な食事を、とレストランに赴いたことがある。
 目を凝らして、映像を追う。日本人の知り合いが事件に巻き込まれていないか、心配なのだ。
 8時過ぎの現場からのレポートでは死者18名を確認したと報じられた。が、続報のたびに増え、夜中には60名以上と伝えられた。負傷者は200名を越えるだろうということだ。
 鎮火後、爆発による巨大な被害が、時間とともにあきらかになってきた。ホテル本館は全焼、地上階のロビー、ラウンジは爆発で、破壊されつくされ瓦礫のみという状態で、館内での犠牲者はまだまだ増えると見られる。

新大統領の国会演説とテロ
 早朝には、爆発規模から推察して1トン以上の爆発物による自爆と断定された。乗り付けられたトラックが爆破した。しかし、前後を複数の車両が囲んでいたという情報もある。いずれにしても、組織的で規律の取れた行動によるテロであるのは、あきらかだ。
 パキスタン大統領アシフ・アリ・ザルダリは、テレビで国民に呼びかけた。「憎むべきテロであるが、国民は冷静に対応して欲しい。政府は、断固としてテロリズムに対して戦いを挑む。テロは、パキスタンにとって癌なのである。」といった趣旨であった。
 新大統領ザルダリは、20日、就任後はじめて国会で演説した。テロ発生の数時間前だった。
 注目されたのは、アフガン国境地帯に展開される米軍の越境活動について、どのような見解を語るかにあった。大統領は、パキスタン自国軍はテロリスト掃討作戦を、威信をかけて戦い続けている。そして、パキスタンは、すべての海外勢力テロリスト、そして外国軍が国境を侵すことを許さない、と表明した。
 基本的には、前大統領ムシャラフと変っていない。しかし事態は、まったく情勢を変えている。事実、9月入って、アメリカ地上軍は領内に侵攻しているし、その後もたびたび、無人攻撃機による国境侵犯はおこなわれている。
 この後の国会論議がどのように展開されるか、注目される点だ。
 大統領演説の数時間後、あたかも応えるようにテロが発生した。
 狙われたホテルはアメリカ資本によるものだ。だからといって、政治的行動としては卑劣、極まりない。
 しかし、政府側も“癌”を根治させるのが、掃討作戦という武力だけではないことを知らなければならない。いや、充分過ぎるほど、知っているのだろう。だが、対応策がない。ザルダリ大統領の国会演説でも、明確化されていない。
 ザルダリは、来週、アメリカを訪問することになっている。残り少なくなった任期のもとでブッシュ大統領は、イラクからアフガンへの兵力移動をおこなっている。そのブッシュのファイナルラウンドに、ザルダリ・パキスタンがなにを突きつけるのか、隣国インドをはじめ、周辺国は注目している。
 インドではデリー・テロの捜査が進んでいる。その進捗の過程で、イスラマバードのテロが発生している。インドの反応は複雑で、親米と反テロが重ならない苛立ちがある。
 いずれにしても、テロリズム、特に無辜の市民を対象にすることを畏れないソフト・テロには、怒りをこめてその悲惨を訴えなければならない。

Posted by 森尻 純夫 at 17:39 | この記事のURL