新必殺技を開発 [2013年08月12日(Mon)]
◆続・クローン病中ひざくりげ(53)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 歯肉炎も、腹痛も、しんどいけれど、いちばんつらい症状ではないのだ。 最もひどいのは―― "痔瘻(じろう)" である。 あまり、しつこく書いていると、「またか」と思われそうな気がしなくもないので、今回の報告をもっていったん終わりにするが、なにしろ直腸からキ●タマの裏側まで穴ができているのだから、たまらない。いつも細菌感染がおきていて、キ●タマの裏からいつもウミがねろねろ出てくる。キモチ悪いこと、この上ない。 キモチ悪いだけならよいのだが(よくもないが)、 「ぎあーっ!」 何の前ぶれもなく、いきなり、針を刺されたような痛みがくる。この痛さ、マジ、冗談じゃない。泣けてきそうだ。 この痛みに耐えているだけでも、そうとうの体力を消耗していると思われる。 消耗するほどの体力、ないんですけど。 ◇ 痔瘻は漢方風呂でよくなる。 だが、保険がきかない。 「漢方風呂よりも、ベルクスロンが優先やなあ〜」 松本先生からそう言われた。 "ベルクスロン" とは、抗ヘルペス剤のことだ。 これも、保険がきかない。 本当に有効な治療には保険がきかないようにしてある、まことにアホな日本の医療である。のん気な私は、アホやなあ、と呆れているだけだが、松本先生は憤慨しておられる。 潤沢(じゅんたく)な軍資金があればいいのだが、私はクローン病のみならず、金欠病もわずらっているのだ。どちらもというわけにいかない。クローン病のほとんどの症状はヘルペスが原因とわかったいま、なけなしの資金は抗ヘルペス剤に投下し、もって最大の投資効果を得ようという作戦となった。 痔瘻は根性で乗り切るしかない。 根性、ないんですけど。 ◇ 「ぎあーっ!」 キ●タマの裏側まで痔瘻が成長してからというもの、ますます痛みが激烈になった。穴が長くなったぶん、ウミは穴の中でたまってしまい、出てきづらくなって、腫れがひどくなったのだ。 しかも、痛む範囲も、広がった。左足の太もものつけねあたりまで針で刺されたように痛む。まさか、こんどは足まで、穴が成長しようってのか? 冗談じゃない。 「とにかく、ウミをためておくのは、まずい」 覚悟した。 このウミ、しぼり出してやる。 トイレに入り、ペーパーを手にとる。それを、そーっと、おしりにあてがう。 腫れものにさわるようにだ(というより、腫れものだ)。 さわると、ビリリッ! と電流が流れる。かまわず、そのまま、ウミがたまっている箇所からキ●タマの裏にむかって、グーッと力を入れてしごいていく。意外だが、痛くない。 すると、穴から「にゅる〜っ」と、大盛りのウミが出た。ううっ。気色わりぃ〜。 そして、すごい悪臭だ。死んだ菌の腐臭と、まだ生きている菌がまきちらしている毒素の臭いである。 「ふうーっ」 ずいぶん、痛みが和らいだ。うまくいった。 名づけて、「必殺ウミしごき」。 これを2時間に1回はやらないと、ウミがたまってしまい激痛にあえぐことになるのである。しぼり出すごとに、ウミがどっさり、トイレットペーパーにつく。この技で2時間は、ひと息つける。調子がいいときは、まったく痛みがないときもある。 ◇ こうして「必殺ウミしごき」を身につけてから、つらいながらも、だいぶマシにはなった。 この痔瘻と、れいの歯肉炎が痛まなければ、仕事だってできるのだ。相変わらずだるいが。 一方、できなくなったこともある。 お散歩である。 1日10分でいいから、どんなにだるくても歩くのを日課にしていたのだが、おしりの痛みが増したことで、とうとう、この最低限の運動もできなくなった。 すると。 体重が、ドッと落ちた。 やれ歯が痛い、やれおなかが痛いと、理由はいろいろ書いたが、これが主因のように思われる。体重が目に見えて減りだしたのは、歩けなくなった時期と一致するのだ。 47キロあった体重が42キロになり、老人がしんどそうに体をうごかしているあの気持ちが、よくわかるようになった。寝ている状態から立ちあがるだけで重労働だ。 それと、思考力がガタ落ちした。 クローン病がひどくなってからというもの、めっきり考えごとがまとまらなくなってしまっていたのだが、このごろはいっそうボケてきて、以前なら1時間で仕上げていた原稿も、2日、3日かかるようになり、ついでに記憶力までなくなってきて、本を読んで「なるほど」と思ったことも、数時間後には、いったい何を「なるほど」と思ったのか覚えていない。 ひとは、歩けなくなると、ここまで衰えるものなのか。 歩ける体をお持ちの方は、ぜひ、歩いていただきたい。それはすごい宝なのだ。 あああ。歩きたいなあ。 「ぎあーっ!」 ウ、ウミをしぼらねば……。 (つづく) ※松本医院での診療を希望される方は 松本医院ホームページ http://www.matsumotoclinic.com を 熟読のうえにも熟読されてからになさいますよう、 お願いいたします。 ◆ 編集後記  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 伏せ字の●の位置を「キン●マ」とやると、キンスマとまちがえそうなので、配慮しました。 ◆このブログはメールマガジンの記事をアップしたものです。 最新の記事は、メールでお送りしています。 無料購読するには今すぐここをクリック |