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松井 二郎
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セレンディピティを信じて [2011年06月08日(Wed)]

 このまえ書いた、わたしの腸のなかの様子ですが、

 実際の写真を
 バックナンバーブログ

 http://blog.canpan.info/2shock/archive/276

 に載せておきました。


 かなり、グロくてエグいので、ご覧になるさいは
 ご注意ください。


 いきなりブログを見た人には
 予告もなしのサプライズアタックですが。




 では今日も、はじめからこのコーナーです。




 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ある日、読者さんからこんなメールをいただいた。




> 松井さま
>
> はじめまして。
> 僕は東京で整体院を経営している者です。
>
> 今回、松井様にメールしたのは、
> ほかでもありません、松井様のご病気に関してです。
>
>
> 僕は、だたの一整体師なので、
> 難病であるクローン病に関する専門知識があるわけではありません。
>
> しかし、うちで行っている施術で、
> 潰瘍性大腸炎が一発で治った事例もあります。
>
> もしかしたら、クローン病にも何らかの効果があるかもしれない、と
> 以前から思っていました。
>
>
> 今日までメールするのを躊躇していたのは、
> あまりに不躾かと思ったからです。
>
> もし、松井様が「試してみたい!」と思われましたら、
> ご一報頂けますでしょうか。
>
> 万が一、施術後、病状が改善されないようであれば、
> 一切料金は頂きません。


          ◇


 甲田先生のご存命中、
 こうしたご提案はすべてお断りしていた。


 読者さんから、メールでたくさんの健康食品と健康法を
 教えていただいた。

 「ぜひ試してみてください」

 と、みなさん書き添えてくださった。


 私は、ご好意を深く謝しながら、

 やっぱり愚直に
 甲田療法一本にしぼっていたのである。




 先生がお亡くなりになった年の秋ごろから、
 その態度をゆるめはじめた。


 甲田療法を続けていくうえで差しつかえなく、

 明らかに体によさそうなものについては、
 とり入れてもいいのではないか。


 ご縁をだいじにしよう。

 "セレンディピティ" を信じよう、と思ったのである。




 セレンディピティとは、


 よく

 「いま思えばこれまでのすべての出会いが
 私をいい方向へ持っていってくれた気がします」

 とか言うことがあるが、それである。


 Aさんとの付き合いを大切にしていると、

 Aさんを通じてBさんが紹介される。


 そのBさんが、

 "私が望んでいることだけれども
 それが何なのか私には分からないでいること"

 を、もたらしてくれる。


 するとこんどは、Bさんの友人のCさんが
 新たな道をひらいてくれる。


 さらに、Cさんと一緒にいたDさんが……


 という具合に望んでいることが実現していく。

 そんな力を、セレンディピティという。




 甲田先生という道しるべを失った私は、

 セレンディピティを信じて、とうぶん、
 ぶらぶらと当てもない旅をしてみようと考えた。


          ◇








   ――さて、

   よくぞここまで読んできてくださいました。

   私はクローン病の闘病記を2008年まで

   リアルタイムで書いていたのですが、

   この場面で書くのをやめていたのです。

   ここからは、メルマガで初めて語る話です――








          ◇


 私はその整体師さんに会いに行った。


 東京都内の住宅街にあるこざっぱりとした整体院は、
 人のいい院長がおひとりで施術から会計までしておられた。

 メールをくださった整体師さんである。




 生まれて初めて、
 そこで整体というものをやってもらった。


 この健康マニアの私が、このトシになって
 整体初体験、というのは、

 体をさわられるのがニガテだからだ。


 「ぐひゃひゃひゃひゃ」

 「松井さん、チカラ抜いてください」

 「は、はい。あひゃひひひ」


 くすぐったくて仕方ない。

 しかし、私はセレンディピティを信じたのだ。
 耐えるのだ。


 「い、痛いー! いだだだだ」

 くすぐったかったと思えば、痛くなり、


 「いだだ、あ、あひゃひゃひゃひゃ」

 触られているところがすこし移動すると、
 くすぐったくなる。

 きけば、くすぐったいのも、痛いのと同じように
 体がこっているからなのだそうだ。


 あ、痛い。

 いや、くすぐったい。痛い。くすぐったい。




 うっ、整体師さんの指が、脇腹に。

 もっともニガテなところだ。

 でも、耐えます。セレンディピティを信じて、耐え……


 「ぎゃははははー!」

 「松井さん、チカラ抜いてください」


          ◇


 ある意味、クローン病の腹痛よりも死ぬかとおもった。


 しかし、終わってみると、
 断食をしたあとのように体が軽いのだ。

 そして、じつに気分がいい。


 整体師さんとも話が合った。

 これも何かのご縁なのだろう。


 「しばらく通わせてもらいます」


 クローン病が何回で治るとか、そういうことではなしに、
 そうしたいと思ったのである。料金もお支払いした。


          ◇


 その整体師さんとも、お別れのときがきた。




 通ったのは週に1回、半年ほどだったろうか。

 クローン病に著効(ちょこう)は
 みられていなかった。


 だから行かなくなったのではない。

 私が東京から富山へ引っ越すことになったからだ。




 かねがね、東京という環境が、もしかしたら
 クローン病を治すための環境ではないんじゃないかと
 疑念を持ちはじめていたのだ。


 歩けば一軒ごとに食べもの屋があり、

 30メートルおきに自動販売機があるこの街が、
 食欲を刺激していないはずがない。




 もうすこし年をとったら
 田舎に引っこもうと考えていたのだけれど、

 それは、年をとってからでなく、

 今、やるべきことのように思われた。


 年をとってからのことを想定していられない体に、
 なっている。

 あの血まみれの腸をみたら、
 もうじき死ぬ人と誰に言っても納得されるだろう。


 だけれども私に死ぬ気はないのだ。

 それどころか
 クローン病を完治できると信じている。




 引っ越しの日を決め、整体師さんにも告げた。


 最後の施術をしてもらい、

 しばらくたって、
 ふたたびメールをいただいた。




> 松井さま
>
> 完治までお付き合いできなかったことが
> 悔やまれて仕方ありません。
>
> 今後も、クローン病治療に有効な情報があれば、
> ご連絡いたします。
> 何かしらのお役に立てればと思っております。
>
>
> 以前、探し当てた情報で、
>
> クローン病を漢方で完治させた例のある病院が
> 大阪府高槻市にあるのですが、
>
> 漢方とはいえ薬なので敬遠されるかと思い、
> あえてお伝えしませんでした。
>
> 下記がその医院のホームページです。
>
> 理論としてはかなりしっかりしているものだと思います。
>
> http://www.matsumotoclinic.com
>
>
> 松井さんが1日でも早く良くなるのであれば、
>
> あらゆる面から可能性を見出していきたいと
> 思っています。




 以前なら、このホームページも、

 目は通したかもしれないが、知識のひとつとして
 脳の書棚にしまうだけにしていただろう。


 でも私は、

 「いつかこの先生にも会いに行こう」

 と思った。




 まさかそれが、

 2食健康法と出会ったとき以来の衝撃になるとは、

 このときまだ知るよしもない。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 このメルマガがあなたにとって何らかのプラスになっていれば、
 それもセレンディピティです。

 セレンディピティをもたらせられる人になりたいと思っています。




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やせるじゅもん [2011年06月15日(Wed)]

 暑い日が多くなりました。

 もうすぐ夏ですね。

 淑女のみなさんにおかれましては、
 体のラインが気になってくる時期でしょうか。


 って、やばい、

 こんな書きだしをするとスケベだと思われそうだ。


 否定はしないでおきますが。


          ◇


 1日2食は健康法ですけれど、

 同時に、最高のダイエット法でもあります。


 ただ、やるからには続けることが大事で、

 継けるにはムリしないことが大事、


 そして、ムリなく続けていくには
 気持ちの持ちかたが重要です。




 知り合いのニショッカー(2食家)が
 こう話してくれました。


 「朝、カガミに向かって

 "がんばってやせる、がんばってやせる"

 って言ってたんです。でも、もしかしたら
 逆効果じゃないかって気がついて……」


 そんなこと意識してるから
 かえって食べちゃうんじゃないか、

 だったら何も考えないほうがマシじゃない?

 と思って、言うのをやめた、


 のだそうです。




 それを聞いた私、


 「それはたしかに。でも、だったら

 "私はやせつつある"

 って言ったらいいんですよ」


 と伝えました。


          ◇


 複雑な人間の脳も、単純なところがあって、
 カンタンに暗示にかかります。


 "私はやせつつある"

 とか、


 カガミに向かって

 「おっ、やせてきてるな〜♪」

 と自分に言い聞かせていると、




 いま現在はどうあろうが(← ココ重要)、




 "ダイエットが成功にむかっている自分" が
 心の中に意識され、

 振る舞いが、その自己イメージにそったものに
 変わってきます。


 ひとがおやつタイムにしているのを見ても
 平気になったり、

 食事がすんだあとの "もうすこし何か食べたい" が
 なくなってくるのです。




 ところが。

 "私は、がんばってやせる!"

 と気合いが入っていると、
 2つの問題があります。




 1つは、

 「がんばらなければならないのだ」

 という思いが心にしみつく。


 強迫観念がうまれることです。


 不安やおそれは
 人をよい行動には導きません。

 はじめは食べたいものをガマンできても、

 恐怖感でがんばっている営業マンのようなもので、
 早晩、成績不振におちいります。




 2つめの問題。


 "がんばる" のは、つらいことです。


 「私はつらいことをしている。つらい」

 というメッセージにもなってしまう。


 "がんばるぞ、がんばるぞ"

 と言えば言うほど、


 "なんとなくつらい感" が高まっていき、

 やがてストレス爆発と相成(あいな)ります。


          ◇


 "がんばってやせるぞー"

 と自分に言い聞かせるのは、あまり得策では
 ありません。

 "私はやせつつある" なら、効きますよ♪




 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 では、こちらのコーナーです。


          ◇




 甲田先生は、

 食事療法を指導してもやり遂げる人は
 100人のうち1〜2人くらいだ

 と、著書に書いておられる。




 すると、

 私が熱心に読みふけり
 手本と思っている数々の手記は、

 100人のうち多くて2人の成功談
 ということになる。


 残り98人は、どうしているのか?

 そんな体験談はどこにも書いていない。




 あ、あった。

 私の昔のメルマガがそうだ。


 やり遂げるぞと決意しては、折れ、

 再び、勝ってくるぞと勇ましく、禁欲しては負け、

 1年たち、2年たち、5年、6年の歳月を
 むなしくしてしまっている。


 98〜99人は、あの調子なのだ(私が最下位あたりだろうが)。


 これから私は
 100人に1〜2人の人間になれるだろうか?




 もう一つの問題は、

 なったところで甲田先生がもうおられないことである。




 クローン病が、治ったか、治っていないかの判定は、
 どうすればいいのだ。


 治る直前、さまざまな激しい反応症状がでるらしいが、

 対処のしかたをどなたにきけばいいのだ。


 しかし、治る道が一本しかないうえは、
 その一歩道を行くしかない。

 私は今後も100人の中のトップを目指し続ける。

 20年、30年かかるかもしれないが、
 治るまで歩くだけである。




 だが……最後の問題である。




 私は、晩年になってクローン病が治ったとしよう。

 それはそれですばらしい一生だったと
 いえるのかもしれない。

 あの人は立派に病気と闘った。

 そして病に勝って、死んだ、と。


 しかし私が望んでいるのはそういう人生じゃないのである。


 いま、治りたい。

 働きたいのだ。




 私はいま1日2〜3時間しか体の自由がきかない。

 午前のうちに仕事をし、

 昼食をとったら1日の終わりの合図、38度の熱が
 でてくるのであとは寝ているしかない。


 病人だからそれでいいのかもしれないが、

 涙がでるほどくやしいのである。


 生きたい。

 私は、人生がほしいのだ。


          ◇


 "もし、100人のうち脱落した98人も治る方法が、
  他にあるとしたら?"




 甲田療法に出会って6年、
 それは考えてもいなかったことだった。


 今後も20年30年かけて甲田療法の完遂を
 私は目指す。

 目指しつつ、


 私のような者でも救われる道を
 新しく模索してもいいのではないか?




 甲田療法をやり遂げるのもすばらしいが、

 食い意地のはった凡人でも助かる道を見つけることは
 同等にすばらしいことではないだろうか?


 私は甘えているのだろうか。

 そうかもしれない。

 だが私はこの命を最大限に輝かせたい。


          ◇


 引っ越しが終わり、バタバタがおさまってきたころ、

 整体師さんから受け取ったメールを
 あらためて開いた。




> クローン病を漢方で完治させた例のある病院が
> 大阪府高槻市にあるのですが、
>
> 漢方とはいえ薬なので敬遠されるかと思い、
> あえてお伝えしませんでした。
>
> 下記がその医院のホームページです。
>
> 理論としてはかなりしっかりしているものだと思います。
>
> http://www.matsumotoclinic.com




 このホームページは
 あとでゆっくり読もうと思っていたのだ。


 読んだ。


 私は、この先生に会うため、ただちに大阪へむかった。






 (くろーん病中膝栗毛 第1部 完)






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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ずっと私は


 「クローン病、治っちゃうなー」とか

 「よくなってきてるぞ」


 と言い続けてきました。


 そしたら……。




 『くろーん病中膝栗毛』第2部、お楽しみに♪




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当たるかもしれないクジを買え [2011年06月25日(Sat)]

 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 第2部の開始にあたり、

 ここまでのまとめをしつつ、

 新情報もお伝えしていきます。




 (第1部はコチラ


          ◇


 難病中の難病といわれる、クローン病。


 それを治す1日1200キロカロリーの超少食とは、
 こうだった。




 「・水と柿茶を1日に1.5リットル以上飲む。

 ・朝食……抜く。かわりに青汁を180cc飲む。

 ・昼食……玄米クリーム(玄米粉100gを水540ccで煮る)、
   豆腐半丁(200g)。
   いずれも味つけは塩のみとする(みそや醤油は使わない)。

 ・夕食1時間前に青汁を180cc飲む。

 ・夕食……昼食に同じ。

 ・そのほか一切のものを飲食しないこと。」




 これを脱線なく続ければ、難病といえど
 治るという。

 甲田光雄先生は約束してくださった。


 しかし、

 これができなければ、私はどうなってしまうのか?


 クローン病患者のためのパンフレットを
 ひらいてみる。




 「クローン病では
 腸管(ちょうかん)の安静に加えて、

 腸管腔(ちょうかんくう)からの抗原(こうげん)を
 取り除くことが重要であり、

 これを目的とした栄養療法に

 経腸栄養法(けいちょうえいようほう)

 があります。


 成分栄養剤は
 抗原性を持たないアミノ酸をタンパク源とするため、
 消化をほとんど必要とせず、

 また脂肪分をほとんど含んでいないため、

 腸管の安静を保ちながら
 充分な栄養補給を可能としています」




 「経腸栄養は

 原則として
 鼻から十二指腸まで挿入したチューブ(EDチューブ)
 から注入します。


 チューブを自分で鼻からいれることに
 慣れるまで大変ですが、

 腸への負担をかけずに
 安静を保つために必要なことなので
 がんばって練習しましょう」




 「チューブの挿入方法


 1度目は医師が挿入しますが、
 2度目からは自分でできるよう、

 医師や看護士にアドバイスを受けながら
 練習しましょう。


 1.手をよく洗います。

 2.EDチューブの先にすべりを良くするために
  水またはゼリーをつけます。

 3.立つ、または座るなど、上半身を起こした状態で
  チューブの挿入をおこないます。

  まず、左右どちらか、
  挿入しやすい鼻孔(びこう)を選びます。

  鼻腔(びくう)は水平にあるので、チューブを
  その方向へ進めます。

 4.チューブが咽頭(いんとう)まで達すると壁にぶつかるので、
  つばをためて飲むか、
  水を飲むのと同時にチューブを食道へ進めます。

  入りにくいときは、チューブを回転させながら
  挿入すると入りやすいようです。

 5.約50cmでチューブの先端は胃内に、約70cmで
  十二指腸まで入ったことになります。

  このためチューブは70cmまで進めます。

 6.咳が出たり、むせるなら、
  気管にまちがって入っている可能性があるので、
  もう一度入れ直しましょう。」


       (日比紀文監修『第2版 クローン病の正しい知識と理解』)


          ◇


 こんなのイヤだ!


 「がんばって練習しましょう」?

 がんばろう、というのは希望のある人にかける言葉だろう。


 こんな生活をしたところで、治らないんじゃないか。
 それを

 「がんばりましょう」

 なんて、どだい、ふざけている。


 ユメもチボーもないのに、
 何のためにがんばるんだ?




 希望があるのは甲田療法である。


 もちろん、これも
 私が食欲をどうにかできるかにかかっているのであって、

 それができた人は、過去100人に1〜2人ときく。

 その点、希望ばかりというわけではない。


 が、希望が「ない」のでは、ない。


 ならば、


 少なくとも、
 絶対に当たらない空(から)クジではなく、

 当たるかもしれないクジを買わねばならない。




 しかし、言うは易く行うは難(かた)いのだった。


 何度も決意して、

 何度も折れた。


 人間にとって、
 食欲がこんなに激烈なものとは知らなかった。


 "欲" は、「108の煩悩」のトップに位置する。

 欲はまた大きく5つに分類され、
 その1番目にくるのが "食欲" なのだが、

 そのことを骨のズイまで知らされる
 6年間だった。




 この、人間最強の欲望を手なずけるまでに、
 私はどれだけかかるのだろう。

 寿命があと40年として、
 そのあいだにできることなのだろうか?


 千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)を成し遂げた
 高僧でさえ、

 欲を断ち切ることはできなかったと言っている。




 そのうちに、
 甲田先生ご逝去の報(しら)せを受けた。


          ◇


 クローン病は、進行していった。


 腹痛で1日じゅう悲鳴をあげていた。

 夜も寝つけない。
 眠っても、激痛ですぐ目がさめてしまう。


 ついに玄米クリームも吸収できなくなった。

 体重は39.6キロ、

 骨と皮だけになった。




 治った人の体験記を読むと、

 みな、甲田先生とつねに連絡をとり合い、
 最後は先生のもとで仕上げの断食までしている。

 それはもうできない。


 この先、甲田療法で難病を治すことは未知の領域だ。

 これからは、
 100人のうち何人が、完治まで進めるのだろう?


          ◇


 一人で甲田療法をやって難病を治してしまう、すごい人が、
 これから現れるかもしれない。

 そうあってほしい。


 でも……

 私がその「すごい人」になれるだろうか?




 玄米クリームをすすって、思った。

 ああ、これで、
 この食事だけで満足できる聖人君子だったら、よかった。




 そのとき、腹のなかに
 切り裂かれるような激痛がはしった。

 食事の手がとまる。

 ナイフで内側からメッタ刺しにされているかのようだ。

 玄米クリームの入ったどんぶりを抱えたまま、
 うめいた。


          ◇


 腹の痛みに耐えるために一日を生きていた。


 そして、20回〜30回ほど、
 突然に下痢がくる。

 力を失った肛門は、すこしのあいだでさえ
 もちこたえられない。

 すぐさまトイレに走らねばならないのに、

 40キロを切った体にはもう筋肉がない。

 ひざを立て、壁にすがって立ち、トイレに向かうのだが、
 そのたびに全身全霊をかたむけた。


 やっと排せつを終えて
 ふとんに横たわると、

 すぐさま下痢をもよおすこともある。




 薬を飲み、腸を切り取れば、

 痛みはやわらぐだろう。


 だが、それをやったが最後、治る可能性は断(た)たれる。


 おれは、治らない方法は採(と)らぬ。

 治る可能性を絶対に残しておく。


          ◇


 トイレに行くと、
 1日に1回は、便が白かったり、赤かったりした。

 白いのは腸の内部にあるウミで、赤いのは血なのだ。

 便だと思って排せつしたら、ウミだらけだったり、
 まっ赤な鮮血だったりした。




 これを治すには、

 いまよりも腸の動きを良くすることだ。


 それには、腸の動きを止める薬を飲んではいけないし、

 まして腸そのものを切り取ってしまうなど、
 狂気の沙汰である。




 ああ、痛い。おなかが痛い。

 でも薬は絶対に飲まない。死んでも飲まない。




 日照りが続いても
 いつか慈雨(じう)が降ることもあるだろう。

 でも、そのときにタネが腐ってしまっていたら、
 芽は吹かぬ。


 治るキッカケが、いつやって来るかも知れない。

 そのときに、私は治る体でいなければ。




 手術も、しない。


 いまの私は、生きるしかばねだ。

 だが、これからも "治る可能性がある私" でいつづける!


          ◇


 甲田先生ご逝去の報をうけて、1年

 (2009年8月)。




 日中、私はふとんの中にいないことが多くなった。

 体重は44キロになっていた。


 最悪の時期は、脱したようだ。




 なんとか歩けるようになったので、
 病院に行ってみた。

 薬をもらうためではない。

 腸の中がどうなったか、
 またカメラを入れて見てもらおうと思ったのだ。




 5年ぶりに見た腸は、むざんだった。


 5年前は、
 赤いじゅうたんのようなキレイな腸のなかに、

 よく見ないと発見できない白いウミが、

 ポツリ、ポツリ、
 まばらに点在していただけだった。


 それが今では、腸いちめんが白い。

 正常な赤い部分と、ウミに覆われた異常な部分が、
 およそ2対1の比率で分布している。




 そして赤い部分は、ほとんどが変形していた。

 宅配便の荷物に入っているプチプチみたいに
 突起していたり、

 その突起が伸び、
 つららのように垂れ下がったりしている。

 まるで鍾乳洞(しょうにゅうどう)だ。


 しかも地面はマグマを噴(ふ)いている。

 血が出ているのだ。


          ◇


 血液検査もした。

 その結果、

 鉄が成人男性の5分の4で、貧血だった。

 また、炎症の度合いをあらわす
 CRPという数値が、
 2.9ミリグラム/デシリットルであった。

 ふつうは0.3以下でなければならないので、
 最大許容量を約10倍 上回っている。




 医師のカルテは
 "クローン病(初期)" から

 "クローン病(活動期)"

 に書き換えられた。

 これは、病状がだいぶ進んで、
 社会生活が困難になっていることを意味する。


 鼻からチューブを入れていなければならない状態である。




 医師は、こう言った。

 「レミケードをやってみませんか?」


 え? レミ……なんですって?


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 "絶対に治らない" とわかっている治療を、絶対に
 やってはならない。

 あたりまえのことだと思うのですが、

 周りじゅうから変人あつかいされます。


 さて、ほんとうの変人は、どっちになると思う?




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