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松井 二郎
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「腹が減っては」を科学がバッサリ [2011年05月03日(Tue)]

 読売新聞にこんな記事がでていました。


          ◇


  "「腹が減っては……」 もう古い "




 学校から帰ってきて、おなかはぺこぺこ。

 さて、勉強を片づけてから食事にするか、
 先に空腹を満たすか。

 みなさんも悩んだ経験があるでしょう。


 満腹になったら睡魔に襲われ、
 そのまま寝てしまったという苦い体験をした
 人もいるかもしれません。




 日本には
 「腹が減っては戦はできぬ」ということわざが
 あります。

 「でも、その考えはもう古い」

 と、脳研究者の池谷裕二・東京大学准教授が
 教えてくれました。




 2006年の『ネイチャー神経科学誌』に、
 空腹と脳の関係についての実験結果が
 発表されました。

 それによると、
 胃が空っぽの時に放出される

 「グレリン」

 という消化管ホルモンが、脳の視床下部に届いて
 食欲を増進。

 と同時に、

 記憶をつかさどる脳部位の海馬(かいば) にも
 強く作用することが発見されたとのことです。




 「大自然の中で生活する動物たちは、
 常に生命の危機にさらされている。

 生き残るには、敵に遭遇した状況や
 獲物にありつけない道をきちんと記憶しておく
 必要があり、

 こうした性質は、長い進化を経ても
 ヒトの脳に残っているのでは」

 と池谷准教授。


 危機感を脳に呼び起こせば、記憶力は高まる
 傾向にあるそうです。




 それではなぜ、「腹が減っては……」と
 言われてきたのか。


 当時の飢餓状態は生死を左右するほど深刻な
 もので、

 飽食の時代に生きる私たちが口にする空腹とは、
 意味あいが違ったのでしょう。




 グレリンを脳に伝えるには、満腹まで食べずに
 無駄な間食も慎む。

 「『腹八分に医者いらず』の心意気が勉強でも大切」

 と池谷准教授はアドバイスします。


                  (4月15日 読売新聞)


          ◇


 甲田式・2食健康法に、
 ようやく科学が追いついてきました。




 空腹のときに脳がはたらく理由として、
 甲田先生は

 "β(ベータ) ヒドロキシ酪酸(らくさん)"

 の作用をあげておられます。




 これは脂質が分解されたときにできる
 老廃物の一種。

 午前中に食事をしないでいると、

 ブドウ糖が足りなくなって、

 かわりにこれが
 脳のエネルギー源として使われるようになります。


 廃棄物を再利用するわけです。

 エコです。




 エコなだけじゃない。

 脳は、このβヒドロキシ酪酸をつかっているときに
 α波がでやすくなるのだ。


 1日2食に慣れたひとは必ず味わう
 ことですが、


 午前中はアタマが冴えわたり、

 気分もすがすがしく、なんともいえない
 爽快感が続きます。


 昼食とると終わっちゃいますが。




 朝食を抜くと勉強ができないどころの
 話ではありません。

 勉強にしろ運動にしろ、仕事をするにせよ、

 なにごとにつけて最高のパフォーマンスが
 得られるのは空腹時。




 このことを甲田先生は
 50年も前から言っておられたのです。


          ◇


 まだまだ、甲田式・2食健康法は

 科学の解明をまたねばならないところが
 たくさんあります。

 さらにあと50年は、時代を先取りしているでしょう。


 わかってもらえないわけですね。




 それをわかるみなさんも、また、すごい方がたです。




 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 では例のコーナー、前回の続きです。


          ◇


 「食べ過ぎで胃が荒れましたな」


 甲田先生は、おなかをさわるなり、そう
 おっしゃった。

 「1ヵ月まじめにやれば元に戻ります」


 寝台から起きて先生の机の前にすわる。




 お顔を直視するのがつらい。
 罪人の気分だ。


 ほんとうは来たくなかった。




 いや、そういうと語弊がある。

 甲田先生には、すがるような気持ちだ。
 毎日でもお会いしたい。


 しかし、ご高齢の先生から
 診察がゆるされるのは3ヵ月に1度。

 最近では、その予約をとっても、甲田医院から
 電話がはいり、


 「先生は1〜2ヵ月お休みになられます。

 後日、あらためて予約を受け付ける日を
 もうけますので、

 そのときまた電話で予約をとってください」


 そう言われることが増えてきていた。


 今回は、半年ぶりにお会いできたのだ。




 その半年ぶりの再会を、こんなかたちに
 するのは耐えがたい。

 逃げだしたい気分だ。


 しかし、一度それで失敗している。


 「玄米クリーム、豆腐、青汁」

 これだけの生活が、できるようになったら、
 先生に会いに行こう。

 そう思っていたら1年たってしまったことがあった。


 同じ轍(てつ)は踏まない。

 先生を悲しい気持ちにさせるのは
 耐えがたいが、

 逃げるのは最悪だ。

 だから来た。


 自分で自分をコントロールできない
 今の状態に、

 なんとか、
 ブレイクスルーがほしかったのもある。




 「体重は」


 「43キロです」

 「あ?」


 「43キロです」

 「あ?」


 「よんじゅう、さん、キロです」

 「うん」


 カルテに書きとめられた。

 耳が、だいぶ遠くなっておられるのだった。




 「がんばってくださいよ。このままだと
 元のもくあみになりまっせ」


 耳が遠いだけのことなので、
 ご自分からはどんどんしゃべられる。

 先生は、診察を終わろうとされた。




 「先生!」

 振り向かれた先生の目を、きょう初めて直視し、

 「どうしても、食べてしまうんです。
 どうしたらいいでしょうか」




 先生はしばらくだまっておられた。


 いや、ほんの1〜2秒だったかもしれない。

 しかし私にはその時間が重たく、長かった。


 先生のご返答を、かたずをのんで待つ。




 「まあ、ひとつがんばってください」


 そう言われると、あとはカルテに何かを
 書き続けておられるのだった。




 私は絶望した。


 もしかして質問が通じなかったのではないか。

 それなら、もういちどおたずねすれば
 いいのかもしれないが、

 いまのは、
 最大限の勇気をふりしぼっての質問だったのだ。




 私は、抜けがらのように、東京へ戻った。


          ◇


 「玄米クリーム、豆腐、青汁」

 これだけを食べるのだ。

 これ以外、世界には存在しないことにするのだ。


 つらいときは先生のお顔を思い出した。




 それでも、食欲の炎は消えない。

 いよいよ燃えさかり、


 玄米ごはんや白米ごはん、
 厚揚げ、油揚げ、
 りんご、バナナ、せんべいと、

 少しずつ世界が広がってしまう。


 自分の心を、自分でうごかせない。

 いいように引きずりまわされてしまう。




 もう一体どうしたらいいんだ!


          ◇


 再び、次の予約日が取り消しになった。


 その次の予約受付日も、延期された。


 そして次にきいたのは、
 甲田光雄先生の訃報であった。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 甲田先生にいろいろたずねまくってた人も
 おられるようなんですが、

 私は昔っから、男の人、

 とくに父親みたいな人の前に立つと萎縮しちゃって、
 だめなんです。

 だいぶ訓練して、治したんですけど、

 とにかくものが言えなくなります。言われたことは、
 守るんですが。


 って、守ってなかったな、このときは。




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ふぬあーうぐあー [2011年05月12日(Thu)]

 きょうは
 のっけからこのコーナーです。




 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 (2008年 夏、甲田光雄先生の訃報をうけた。)




 うそだ。

 甲田先生が、お亡くなりになるなんて。


 先生は、ずっと死なないお方で、

 わたしのクローン病が治るまで
 ずっと診(み)ていてくださると思っていた。


 そんなバカなことは、ないはずなのに、

 そのバカなことを
 疑いもいれずに信じていた。




 信じていたものを失ったときほど、
 人間、弱いものはないらしい。


 私の食欲は、完全に、凧の糸が切れた。


 ラーメンを食べた。カレーライスを食べた。
 ハンバーガーをさえ食べたのである。




 腹は、そのたびに切り裂かれるように痛んだ。


 いま回想して書くよりも、

 当時のメルマガに生々しい記録がある。


 これだ。


          ◇




> さいきん私は、どんな感じなのかといいますと、
>
>
>
> ひたすら、寝てます。
>
>
>
> ときどき、うつぶせになって、ノートパソコンを
> ひらき、
>
> 『日刊 1日2食の健康革命エキスプレス』
>
> を書いて、
> プレミアム読者のかたに配信し、
>
>
>
> また、寝る(笑)
>
>
>
> あとは、ごはんをつくって、食べて、
>
> そして、
>
>
> ごはんは1日2回しか食べないのに、
>
> トイレには1日15回とか20回とか
> 用事がある!(涙)
>
>
>
> これで、1日が終わっちゃう。
>
> という感じです。
>
>
>
> も〜、これで精一杯。
>
> これ以上のことは、いまのところできそうも
> ありません。
>
>
>
>
> じつは、
>
> 立ち上がることも、ほとんど、ままならないんです。
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> 昨年の冬から、ことしの梅雨入り前にかけて、
> 約6ヵ月、
>
> いちばんひどいときは、家から一歩も出られずに
> いました。
>
>
>
> 立てないんです。
> 体じゅうに、力が入らなくて。
>
> とくに、足が、立ってくれません。
>
>
>
> それでも、どうしても立ち上がろうとするならば、
>
>
>
> 「ふぬあーっ!」
>
>
>
> というかけ声 一発、
>
> 全力こめて、まず右ひざを立てます。
>
>
>
> そして、もういっちょ、
>
>
>
> 「ぬああーっ!」
>
>
>
> と左足ひざを立てる。
>
> これで、陸上選手が「ヨーイドン」するときの
> 体勢になりました。
>
>
> そこで、床についている両手に、思いきり力をこめ、
> 手の反動を使い、
>
> ここで最後の気合いをいれて、
>
>
>
> 「うがあー!!」
>
>
>
> と、イッキに立ち上がらなければなりません。
>
>
>
>
>
>
>
> かけ声が、いちいちマンガチックなのは、
> 大目に見てやってください。
>
>
>
>
>
>
>
> で、
>
> 立ち上がったあと、気を抜くと、
>
> そのまま、また「コローン」と倒れてしまう
> ことがあるので、
>
>
> 両手をひろげ、しばらく、バランスをとります。
>
> おっとっと。
>
>
>
> ふうー。
>
> どうやら、立ち上がれたようだ。
>
>
>
> これで、ようやく、歩く準備ができるわけです。
>
>
>
>
>
> ここから、次に、歩きだすのがまたタイヘン。
>
>
> なにしろ、立っているだけで、やっとなのです。
> フラフラしてます。
>
>
> 「歩く」という行為は、片足で立つのを右、左、右……と
> くり返す運動ですから、
>
> よほど注意して、しっかりバランスをとって歩かないと
> いけない。
>
> じゃないと、せっかくあれだけ苦労して立ち上がったのに、
> また床に「コローン」と倒れてしまいます。
>
>
> そしたら、また、あの
>
>
>
> 「ふぬあーっ!」
>
>
>
> から再開しないといけない。
> 気をつけねば。
>
>
>
>
>
> よし。では、まずは、右足を前に。
>
> よいしょっ。
>
>
>
> はあ、はあ。
>
> よし。右足が、前に出たぞ。
>
>
> 次は、左だ。
>
>
> ふんしょっ!
>
>
> よし、よし。いいかんじ。
>
>
>
> 次は、また右足だ。えいやっ!
>
>
> お次は、左。とりゃっ!
>
>
>
>
>
> この調子で、片足ずつ、意識をこめて、
> 少しずつ前進していきます。
>
> こうやって、はじめて、歩けるのです。
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> こんなふうですから、トイレひとつ行くのも、
> ひと苦労、
>
> というか、
>
>
> とんでもなく骨が折れる、超・重労働。
>
>
>
> ところが、
>
>
>
> そのトイレが、1日に20回ちかく、「くる」んです。
>
>
>
> 小用じゃないですよ。
> 風雲、急を告げる用事です(笑)
>
>
>
> ピキーン。
>
>
>
> うぐっ! きたー。
>
>
>
> は、早くトイレに行かなければ……。
>
>
>
> ふぬあーっ!
>
>
>
>
> うぬあーっ!
>
>
>
>
>
>
>
>
>
> おりやああー!
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
> こうして、ヨロヨロ、
>
> 酔っぱらったオッサンよりも頼りない足つきで、
> トイレまでよろめいていくのでした。
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> こんな体でも、
>
> どうしても用事があって、外出しなければ
> ならないときもあります。
>
>
>
> そんなときは、決死の覚悟。
>
> 四十七士、討ち入りの気持ちで家を出ます。
>
>
> いや、これが、大げさじゃないのだ。
>
>
>
> ガードレールのない道で、車が横をビュンビュン
> 通っていく。
>
> これが、とっても恐ろしいのです。
>
>
> いま、「コローン」といったら、おしまいじゃん。
> 気をつけねば。
>
>
>
>
>
> 外に出ても、やはり、足に力が入りません。
>
> 歩くのだけで、やっとなので、
> 道のホンの少しの傾斜が、きつい上り坂のよう。
>
> ふう、ふう。
>
>
>
> これが、実際の坂になると、もうタイヘン。
>
> 「心臓破りの坂」です(笑)
>
>
>
>
>
> 同様に、階段もシンドイ。
>
>
> 一段、一段、うしろへ倒れないように
> 気をつけながら、
>
> 例によって、
>
>
> 「つぎは、右足。つぎは、左」
>
>
> と、スローモーションでもかかったような動きで
> のぼっていきます。
>
>
>
>
>
> 「ああ、こんな体になって、
> お年寄りの気持ちが、よく分かった。
>
> 弱った体で歩くのって、
> こんなに、タイヘンだったのか」
>
>
>
> そう思って、道を歩いていたら、
>
>
> のんびりのんびり歩く老人が、私の横を追い抜いて
> いきました。
>
>
>
> おいおい!
>
> いまの私は、老人よりも体力ないのかい!
>
>
>
>
>
>
>
> あ。
>
>
> あ。
>
>
> うっ。
>
>
> うぐぐ。
>
>
>
> 痛い。
>
> おなかが痛い。
>
>
>
> 張り裂けそうだ。
>
>
>
> うが。
>
>
> うがああ。
>
>
>
>
> うがあああーっ!
>
>
>
>
>
>
>
> 激痛が、こんな道ばたでも、遠慮なく
> 襲ってくる。
>
> 家なら、このまま、倒れ込めばいいけど、
>
> ここじゃ、そうもいかない。
>
>
> 耐えなければ。
>
>
>
>
>
> 激痛は、鋭利なナイフとなって、
> はらわたを切り裂き、えぐりとり、かき回す。
>
> 気絶しそうだ。
>
>
>
> 悲鳴をあげるどころじゃすまない痛み
> だけれど、
>
> 道ばたでは、声ひとつ、あげるわけにいかない。
>
>
>
> 腹をおさえ、歯をくいしばり、
>
> 人に、つぎつぎ、追い越されながら、
>
>
> 「うぐうぅうう。
> つぎは、右足。つぎは、左……」
>
>
> 一歩一歩、
> 意識を集中しながら、
>
> ふらり、ふらり、歩いていく。
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> 痛みがおさまった。
>
> ふぅ。
>
>
> しかし、まだ、激痛が走った余韻が、
> 腹に残っている。
>
> つぎの瞬間、また、さっきのように
> なるかもしれないのだ。
>
>
>
> いっ。
>
>
> イテッ!
>
>
> きたか?
>
>
>
>
>
>
> ……はあ。おさまったみたいだ。
>
>
>
>
>
>
> ああ、それにしても、
>
> 歩いている人、みんな、健康そうだなあ〜。
>
>
> あんなに、サッサッと歩いて。
>
>
>
> 「どうしてみんな、ふつうに歩けるんだろう?」
>
>
> 当たりまえのことなのだけれど、
>
> それが、どうしても、フシギなことに
> 思えてならない。
>
>
>
> 「それに、みんな、
> どうして、おなかを抱えていないんだ?」
>
>
> それもまたフシギだ。
>
> 生きるということは、24時間、おなかの痛みに
> 耐える、ということじゃあないのか?
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> これは、聞いた話なのだけれど、
>
>
> ガンにかかった、ある人が、
>
> 「自分はもうじき死ぬのだ」
>
> と知り、
>
>
> 元気な、周りの人をみて、
>
> 「どうしてみんなは、まだ死なないのだろう?」
>
> と、それを不思議に思うようになった、
>
> のだそうだ。
>
>
>
> いまの私は、もしかしたら、それに近い状態
> なのかもしれない。
>
>
>
> クローン病。
>
> やっぱり、難病なんだよなあ。
>
>
>
> いいなあ。
> みんな、難病じゃなくって。ふつうに歩けて。
>
> 歩こうと思えば、何も意識しなくても、ああして、
> スッスッと歩けるなんて。
>
>
>
> それに、
>
> なにを食べても、おなか、痛くならないんだよな。
>
>
> 白米ごはんを食べても、
>
> 野菜をとっても、
>
> お茶を飲んでも、
>
>
> あの、ナイフでえぐられるような痛みは、
> やってこないんだよな。
>
>
>
>
>
>
>
>
> ちくしょう!
>
>
>
>
>
>
> うらやましいよう!
>
>
>
>
>
>
>
>
> あ。
>
> いけない。
>
>
> こんなひどい病気になったのは、
>
> 今日まで、必要以上に、食べものをむさぼってきた
> 報いだってのに。
>
>
> それでいま、こうして、自分のまいたタネを、
> 刈り取ってるんじゃないか。
>
> 人をねたんで、どうする。
>
>
>
> でも……
>
> やっぱり、うらやましい。
>
>
>
> あたりまえのように、食べて、飲んで、
> 動いているみんなが、
>
> 狂おしいほど、ねたましい。
>
>

 (次の記事に続く)



ふぬあーうぐあー(つづき) [2011年05月12日(Thu)]

 (まえの記事からの続き)

>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> 用事がすみ、帰るころには、
> すっかり夜もふけていた。
>
> 空は、どんより雲がかかっているが、
> ぽつり、ぽつり、星がみえる。
>
>
>
> あの星は、
>
> いつまで、ああして、輝いていられるんだろ。
>
>
>
> 少なくとも、ぼくの寿命よりは、
> 長いんだろうけど、
>
>
> 宇宙の寿命からいったら、あの星だって、
>
> ほんの一瞬、
> またたいているだけなんだよな。
>
>
>
> その宇宙も、
>
> やがては、消えてなくなってしまう、らしい。
>
>
>
>
>
> この宇宙が、いのちを保っている
> あいだに、
>
>
> 私という生命体が、この小さな星に生まれ、
> 生きている、
>
> それも、「健康に」生きていられる、
>
>
> それって、
>
> 宇宙の歴史のなかで見たら、
> まばたきするより、短い時間だろう。
>
>
>
>
> 人生で、
>
> やりたいことができる健康が保てている期間は、
>
>
> ホンの一瞬。
>
>
> それは、この世のどんな財宝より、貴重な輝きなのだ。
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> 家にたどりつく。
>
> また、ふとんにもぐりこむ。
>
>
>
> 「食事の用意をしなくっちゃ……」
>
>
>
> でも、疲れて、その気力も起きない。
>
>
> だいたい、
>
>
> もう、とうの昔に、「玄米クリーム」には、
> 飽きてしまっているのだ。
>
>
>
> こんな体で、食べたくもないものを、
> どうして、作れる?
>
>
> いやだ!
>
>
> 玄米フレークが、まだ、あったっけな。
> きょうは、あれでいいや……。
>
>
>
>
>
> あ〜あ。
> きょう、道ですれちがったみんなは、
>
> こんな生活、してないんだろうな。
>
>
> 家に帰ったら、好きな食事ができるんだろう。
>
> 帰る途中で、外食という手もある。
>
>
>
> 食べられる。
>
> 歩ける。
>
>
> これって、当たりまえのこと、だと
> 思ってた。
>
>
> でも、ちがった。
>
> 当たりまえのことなんかじゃ、なかった。
>
>
>
> 健康であることを、当たりまえだと思っていると、
>
> この世のどんな財宝より貴重な、
> ホンの一瞬の時間を、
>
> きっと、粗末に扱ってしまうだろう。
>
>
> いままでの自分が、そうであったように。
>
>
>
> ああ、
>
> 健康であったとき、
>
> いまという時間を、どれだけ
> 大切にしてきただろう!
>
>
>
>
>
> 「ぼくは、これから、ほんとに回復するのかな?」
>
>
> クローン病が、もっともっと、いまより
> 悪くなったら、どうしよう。
>
> このまま、衰弱が止まらなかったら、どうしよう。
>
>
> それは、じゅうぶん、ありえることなのだ。
>
>
>
> 少食療法が、ビシッ! とできていれば、そんな心配、
> サラサラないのだけれど、
>
> いまは、この通りの、ふがいないありさま。
>
>
>
> この状態を、どこかで変えられなければ、
>
> この調子で、悪くなっていくしかない。
>
>
>
> 少食で治ることがハッキリしている反面、
>
> 少食にできなければ、悪化の一途しかないことも、
> また、分かり切ったこと。
>
>
>
> 「もしかして、ぼくは、このまま、死ぬんじゃないのか」
>
>
>
> 遺書を、
> 書いておかなきゃいけないだろうか。
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> 人生の終わりって、
>
> きっと、こんなふうに、
> ひょうし抜けするほど、あっけなく来るんだ。
>
>
> 「え? もうなの?」
>
> というカンジだ。
>
>
>
> たしかに、この体調なら、もう人生終わっても
> おかしくない。
>
> そんな気もする、けど、
>
>
> いや! そんなはずはない、
>
> こんなところで、人生の幕がバサッと下りるなんて、
> バカげてる。そんなこと、あるはずない、
>
> という気もする。
>
>
>
>
>
> 「まだ死にたくない!」
>
>
>
>
> 天井を見つめた。
>
> 強烈なさびしさが、胸にこみあげてくる。
>
>
>
>
>
> ここまで追いつめられているのに、
>
> それでも決められた食事がとれないとは、
> どういうことだ。
>
>
>
> 死にたいのか、松井二郎。
>
>
>
> いや、
>
> 死にたくない!
>
>
> 死ぬのなんて、死んでもイヤだ。
>
>
>
> じゃあ、ちゃんと少食をやる?
>
>
>
> うう。やりたい。やりたいよ。
>
>
> でも、
>
> でもね。なんなんだろうね。
>
>
> こんな体になって、いよいよ、食欲が
> 強くなってくるんだよ。
>
>
>
> ぜんぜん、少食にできてないわけじゃない。
>
> それどころか、ベストを尽くしてる。それだけは、
> 自信を持って、言える。
>
>
>
> けど、
>
> 「玄米クリーム、とうふ、青汁」
>
> だけで1日を過ごす、
> ということが、
>
> いまは、どうしてもできない。
>
>
> なにかしら、よけいなメニューを追加してしまう。
>
>
>
>
>
> 死を意識してさえ、食欲がおさまらない、
>
> どころか、
>
>
> もしかしたら、もう、あまり命がないんじゃ
> ないか? と思うと、
>
>
> 狂ったように、食べたくなる。
>
>
> 食べ物への執着が、めらめら、燃え上がる。
>
>
>
>
>
> 人間、死が近づくと、安らかな気持ちになるなんて、
> ウソだ。
>
>
> 死が近づくほど、
>
> この世への執着が、むくむく太りだす。
>
>
> まったく、あさましい気持ちになっていく。
>
>
>
>
>
> 逆に、
>
> 高尚な気持ちは、どんどん、しぼむ。
>
>
>
>
>
> この命が消えるまえに、
> 生まれてきた目的を果たさなければ、
>
> なんていう思いは、まったく、起きてこない。
>
>
> たとえ、平生、そう思っていても。
>
>
>
> 人生かけて、これひとつ、成し遂げよう、
>
> そう思って、人生の目的達成にむけて、コツコツ
> 努力してきた、といっても、
>
>
> 死という暗闇に、いまにも、吸い込まれそうに
> なってみると、
>
> すべてが、むなしく、
> どうでもよくなってくる。
>
> 頭の中から、なにもかも、消し飛んでいく。
>
>
>
> かわりに、頭を支配するのは、
>
>
>
> 「もっと食べたい」
>
>
>
> これだけ。
>
>
>
> 一秒でも、長生きして、
>
> そして、
>
>
>
> おいしいものを食べたい!
>
>
> 死ぬ直前まで、
>
> 食べものを、口に入れていたい!
>
>
>
>        ◇    ◇    ◇
>
>
>
> いざ病気になったら、2食があるさ、
>
> なんて、
>
> どうやら、思っちゃいけないようだ。
>
>
>
> 病気になったら、人間、マジメになれる、
> のではなくて、
>
>
>
> 病気になると、体力も、気力も、なにもかも、衰え、
>
> 少食への熱意も、さらさら、
> 失われていくのだ。
>
>
>
> 元気なときしか、
>
> 元気を維持する努力は、できないのかもしれない。
>
>
>
>
>
>
> 元気になりたい。




          ◇




 これが2008年、

 クローン病になって5年がたったころである。




 頼みの綱は、甲田先生だけだ。

 そして、甲田先生は、もうおられない。


 私は、悲しんだ。そして途方に暮れた。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 昔のメルマガ、ながっ!




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コンバットか? ゴキジェットか? [2011年05月21日(Sat)]

 きょうのメルマガは、
 およそ健康情報らしいことが書いてありません。

 2食についての記事をたのしみにされていた方は、

 ゴメンナサイ、
 また次回お会いしましょう。




 今回も、のっけからこのコーナーです。

 あ、


 つぎの1行目が、いちおう健康情報といえば健康情報か。




 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 クローン病はストレスでも悪化する。


 このころ私を悩ませていたものが、3つあった。




 はん、いい気なものだね松井。

 ストレスになることの2つや3つ、いまどき
 誰だって抱えているよ。


 すみません。
 たしかに、それは、ちがいないのですけれど、

 このとき私を見舞った3つのストレスは、
 ちょっとふつうじゃないのである。


          ◇


 ふつうじゃないストレスその1。

 2年の騒音。




 ド ド ド ド ド


 ガ ガ ガ ガ ガ


 バリッ! バリ バリ バリ バリ グワシャーン!




 私の目覚まし時計は2年間、これだった。


 わが住まいはワケあり物件(あとで詳述)の
 ボロアパートなのだが、

 ある日こんなチラシが入った。


 ┌――――――――――――――――――――――――――――
 │                                
 │                                
 │ ご近隣の皆様                         
 │                                
 │                     ○○大学       
 │                                
 │                                
 │  皆様におかれましては誠にご清祥のこと なんちゃらかんちゃら。
 │                                
 │                                
 │  このたび本学は校舎の建てかえをします。           
 │                                
 │  つきましては、2年間ほど、騒音と振動をガマンしてね。    
 │                                
 │                                
 │                                
 │  ・・・・                          




 チラシを捨ててしまったので文面を再現できないが、
 およそこんな内容であった。




 このチラシは、大学の近隣
 半径500メートルほどに配られたようであるが、

 おそらく最も凄惨(せいさん)な害をうけたのが
 うちのボロアパートだろう。


 アパートと大学との境は、

 細い細い、
 車も通れない路地(実際に車両通行止めの標識が立っている)を
 はさんでいるだけ。

 ぴったり隣接しているようなものである。


 いや、「このアパートは大学の土地の一部なんです」
 と人に説明したら

 すんなり「そうですか」と言われてもおかしくないのだ。




 「たいへんな日々がはじまる」


 あるていど覚悟はしていたが、

 いざ着工となって、
 私の認識はまったく甘かったことが知らされた。




 チラシに記載されている工事時間は
 「午前8:30〜午後17時」だが、


 朝7時にはまず重機がドドドドとうなりを
 あげはじめ、

 「オーライ、オーライ」

 という声がきこえる。

 ガーン、ガーン、ゴゴーンと、
 なんだかわからない音がすることもある。


 専門家によると、この「何だかわからない」というのが
 ものすごいストレスを感じさせるそうである。




 まもなく

 「今日も一日ィィィィィ安全第一でェェェェェ
 がんばりましょオォォォォ」

 と、

 『ジョジョ』のシュトロハイムかてめーわと言いたくなる
 現場監督とおぼしき人による朝礼。


 幸いにこの音と声で叩き起こされなかった場合でも、

 チラシで約束された
 午前8時半になると同時に




 ド ド ド ド ド


 ガ ガ ガ ガ ガ


 バリッ! バリ バリ バリ バリ グワシャーン!




 と、これがまるで耳もとで鳴っているようで、

 しかも一つの音につき一つの振動が
 今ならもれなくついてきますといった感じで

 ボロアパート全体を揺るがし
 窓枠をカタカタカタと鳴らした。




 工事が進むと、
 あるときからここにドリルの音と振動が加わって、

 このドリルほどひどいものはなかった。

 おそらく基礎のコンクリートを
 壊しているのだろうが、




 ドリリリリリリリリリリリリリリリリ

 ドリリリリリリリリリリリリリリリリ


 ドリリリリリリリリリリリリリリリリ

 ドリリリリリリリリリリリリリリリリ




 と、

 いつ終わるともしれない金属音が

 地底を揺るがし耳に迫り体を細かく震わせ
 脳天をズキズキと痛めた。


 さいごの脳天だけは精神的な影響によるダメージであろう。





 そもそも私がフリーライターになったのは、

 クローン病であっても、
 家でベッドに伏しながらでも仕事ができるように
 とのことであったのだ。


 この環境はすこし仕事に適さない。

 ていうか、
 もはや人の住める状態じゃないんだよ責任者だせ。




 まあこれが1つめのストレスである。


          ◇


 ふつうじゃないストレスその2。

 裁判。




 私はタクシーにひかれたのである。


 がらにもなくバイクに乗って、
 たぶん、たぶん交通法規は守っていたと思うのだが、

 東京・池袋の幹線道路を走っていたところ、

 となり車線を私と並走していた
 コンドルタクシー、


 このあとあんまり道徳にはずれた対応を長期にわたって
 とられたから
 大人げないのを承知で実名をあげておくが、


 コンドルタクシーさんが、
 何を思ったか右から幅寄せをしてきた。




 すぐ左はガードレール、
 みるみる私の逃げ場はなくなり、

 タクシーの脇腹に接触、

 はね飛ばされて左のガードレールに激突、

 転倒してバイクはしばらく地をすべり、

 止まったときに
 私の頭はタクシーの左前輪から10センチほどのところにあった。




 なぜかどこも骨折はしていなくて、
 さわると飛び上がるほど痛い擦(す)り傷を負っただけだったが、

 大変なのはこのあとの裁判であった。




 いや、わかりやすく裁判といっているだけで、実際には
 先輩のすすめで「法テラス」に相談したら裁判までは行かず
 調停センターみたいなところで決着がついたのだが、


 コンドルさんに誠意があれば
 1年以上も争わなくてすんだのだ。




 行政書士さんに相談したところ、

 この事故は過去にまったく同じものが起きており、

 "判例" といって、
 そのときおこなわれた裁判の結果が公表されている。


 それによると、こういう事故のとき責任の所在は
 私が2 コンドルタクシー8で、

 賠償は2:8の割合ですればよいということであった。




 裁判は、カネも時間も労力もハンパなく使うものである。

 だから判例があるときは
 なるべく判例が示す割合で示談しましょう。

 これが世間のルールになっているのだ。




 ところがコンドルさん、4:6と吹っかけてきなさった。




 相手は個人、それも若造、
 ムチャぶりでも押し切れると思っての狼藉であろうか。

 とにかく一歩も退(ひ)こうとしない。


 いくら話し合いを持ちかけても、

 「いいえ、4:6です」

 と、テコでも動かぬ。


 しかたなく法テラスという
 公的機関に入ってもらうことにしたのだ。




 このあとも長いあいだ、

 痛い腹をおさえ
 下痢でトイレにかけこみながら
 調停センターに通って、


 結局、2.5:7.5という調停案を私が受けいれて
 戦いが終わったが、
 とにかくコンドルタクシーには二度と乗らない。


          ◇


 ふつうじゃないストレスその3。

 ゴキブリ。




 わがボロアパートはワケあり物件だといったが、

 リフォームばっちりで見た目はキレイ、

 でもあんまり安いと思ったら
 住んでびっくり、

 毎日ゴキブリくんが出るのである。




 朝、顔を洗おうと洗面所でセッケンを手にとると、

 セッケンの下からゴキブリが逃げだす。


 夕方、家に帰って家のとびらを開けると、
 足元にゴキブリがいてヒゲをゆらしている。


 冷蔵庫をあけると、
 食べもののあいだをゴキブリが這い回っている

 (これはうちの冷蔵庫がボロで扉にスキマがあるから
 なのだが)。


 毎日1匹は必ずなのである。




 こいつらいったいどこから出やがるんだと
 カベのすきまなどをつぶさに観察してみるのだが、

 そういうところから
 きゃつらが出入りしているのを見たことがない。


 じつは、このボロアパートよりもさらにボロい隣の家の
 竹やぶから来ていたのである。


 トコトコ歩いてやってきて
 わが家の玄関の下のスキマへ平然と入っていくのを、
 帰宅したちょうどそのときに目撃した。




 また、ある夜などは、

 帰ってきてみたら
 その竹やぶ(とウチの玄関は隣接しているのだ)
 から数十匹、

 うちの玄関先に這(は)い出ていて、

 竹やぶに戻っては出てきて、
 また戻っては玄関先に出てくるのをくり返し、

 さながらゴキブリの海になっていたが、


 いったい何が起きたのかと、見ると、

 竹やぶに一本生えた柿の木から実が落ちて潰(つぶ)れ、
 ウチの前がべちゃべちゃなっていた。

 そのあたりに黒光りが特に密集していた。


 隣家への殺意が走ったのはいうまでもない。




 これでは天下無双の最終兵器「コンバット」も
 効かぬ。

 侵入した敵を「ゴキジェット」で各個撃破するほかない。




 寝る前には必ずゴキジェットを枕元にそなえた。

 夜中に、カサ、カサ、と音がしたなら、
 蛍光灯を真昼のごとくつけ、

 まぶしさに目がくらむのをガマンしながら、敵を確認。
 全神経を研(と)ぎ澄ます。

 どこだ? どこだ?

 いた!


 ゴキジェットを手にとり、忍び足。

 ヒゲをゆらしている敵にじゅうぶん近づき、噴霧。

 でたらめな方向に逃げ回る敵を、さらに追撃。
 2度目の噴霧。


 やった。

 動かなくなった敵を
 ティッシュでぐるぐる巻きに包んで捨て、

 ゴキジェットでべたべたになった床を
 ていねいに拭(ふ)き掃除する。

 ああ、これで、眠れる。


 ふと足元を見る。

 スリッパのかげに、
 黒い物体がヒゲをゆらゆらさせている。




 「ぎぃやぁあああ」


          ◇


 こうして(?)、クローン病はさらに悪化した。


 (つづく)




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 『ジョジョ』のシュトロハイムしらない人、すみません。




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赤い洞窟の奥は [2011年05月30日(Mon)]

 さいきん読んだ本、

 というか
 聴いた(?) 本なのですが、

 これ、



 <【CDブック】僕が生まれた時のこと 〜お父さんお母さんへ10のありがとう>



 まえに "1日2食の歌" をつくってくれた
 シンガーソングライター・安達 充さんが出されました。




 もとは YouTubeにアップしていたところ
 再生回数50万回をこえ、

 http://www.youtube.com/watch?v=bK1nHsZlul0


 あまりの人気に
 CDブック、というか【CD絵本】になった

 というものなのですが、


 これが、じつによかった。




 松井は、わるい息子でして、

 生んでくれた両親に、どうしても、感謝できないで
 いました。

 それが、この歌を聴きながら、絵本をめくっていると、


 すんなり、というわけにはいかない。ひどい目にも
 あったから。

 けれど、


 胸がこう、ギュギュッとなって、涙はにじむのです。




 CD本になるまえから YouTubeで聴いていたのだけど、

 あらためてCDでじっくり聴くと
 (ホントは、ぼーっと聴いてるのだが。失礼)


 メロディがいいんだなぁ。

 だから、この歌詞が心にしみるのね。




 なんのために生まれてきたのか。


 それが、わからないと、そもそも自分の体を
 だいじにできないのですが、

 そのひとつの答えが、ここにあるように思うのです。



 <【CDブック】僕が生まれた時のこと 〜お父さんお母さんへ10のありがとう>

  おすすめ。




 ◆ くろーん病中膝栗毛
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 さて、


 前回のこのコーナーは
 おふざけモードでしたが、いつもの調子にもどります。


          ◇




 「腸の中、どうなったかなあ」




 気になって病院に行ってみた。


 クローン病の初期です、と言われて5年。

 ナイフで切りきざまれるように痛む
 おなかは、
 ただごとでないと思われた。


 5年前、おしりから入れたカメラの映像に
 うつっていた、腸に点在する白い斑点。

 あれが、いくらか広がってきているのでは
 ないだろうか。




 「じゃあ松井さん、カメラ入りますよー」


 5年ぶりに、医師と看護師に尻をむけ、
 寝台のうえでモニタを見つめた。

 検査をうけている私も、これでリアルタイムに
 腸のなかが見えるのだ。


 まずは肛門とその周辺の毛がすごい拡大率で
 映しだされる。

 すごい映像だ。
 このメルマガが文字だけの媒体でよかった。


 さて、おしりが突き上げられる感覚がすると、同時に、
 画面はピンク色にちかい赤に変わる。

 これは直腸だろう。





 「では奥に入っていきまーす」


 赤い洞窟をカメラが進んでいく。


 と、

 これはどうしたことだ。


 5年前、「クローン病の初期」と診断されたときは、
 美しい、赤いじゅうたんのトンネルだった。

 まれに、ぷつッと白い斑点(アフタ)が、
 よく見ればあるなあ、というだけだったのだ。


 その様相が一変している。




 じゅうたんは、あちこち剥(は)がれ、

 剥がれたところは
 白いウミ(潰瘍 [かいよう] )がにじみ、

 むしろ、そのウミが
 じゅうたんのように続いている(縦走潰瘍 [じゅうそうかいよう] )。


 場所によっては、ウミだけでなく、血も出ている。


 赤いじゅうたんは、ところどころヨレて、

 丸い敷き石を散らしたかたちで盛り上がっている
 (敷石像 [しきいしぞう] )。




  




 まえにみたクローン病のパンフレットには

 「正常な腸」の写真と

 「クローン病の腸」の写真がならべて紹介されていた。


 5年前、モニタの映像は「正常な腸」と同じだったが、

 いまは「クローン病の腸」の写真が、そのまま
 私の腸となっている。




 「ようこそ、これで生きていらっしゃいますね」

 と言いたくなるありさまだ。

 これが外から見えるキズであったら、
 誰でも青ざめるだろう。


          ◇


 どおりで、痛いわけである。


 検査後に "検査結果報告書" という紙を渡された。

 みると、

 5年前は「クローン病(初期)」と書いてあった
 ところが


 「クローン病(活動期)」


 に変更されていた。

 予定では、1年で「クローン病(なぜか完治)」と
 するはずだったのだが。




 病院を出た。

 宣告をうけた日と同じく、空は
 あほみたいに晴れ、どこまでも広がっていた。


 あのときとちがうのは、

 5年前はこれから甲田先生に診てもらう
 ところであったが、

 今はもう先生がこの世におられないことである。




 さて、

 これから、どうしたものか。


 (つづく)




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