ついに数値の変化が [2014年04月19日(Sat)]
◆続・クローン病中ひざくりげ(77)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 血液検査をした。1〜2ヵ月おきに地元の病院にも通っているのだが、行くたびに血を抜かれている。 いま私の状態は「西洋医学的にみれば」極めてよろしくないわけで、いつ腸が破裂して緊急入院ともなりかねないと病院側からは見られている。そのためつねに数値で状態を確認しておきたいらしいのである。 これは、私も素直に応じている。もし私が西洋医学の医者であったら、こんな瀕死(ひんし)の病人、心配でならない。 その血液検査だが、今回はちょっぴり楽しみなのだ。体調がじつにいい。"フラジール" がいきなり効き始めたし、れいの "プロタンディム" も、飲み始めて2ヵ月、こちらもそろそろ血液の数値に何らかの変化として現れていいころだ。 「では松井さん、これが今日の血液検査の結果ですが」 診察室で担当医さんといっしょにパソコンのモニタを見る。 う〜ん、あいかわらず栄養状態をあらわす数値はひどいが……。 おっ? おおおっ? きたあァァァァァッ! CRP(炎症のひどさ)が! 前回の6.8(mg/dl)から……2.8に激減しているゥーッ! これは2年前、4週間も入院して栄養剤ばかり飲んで過ごしてようやく到達できた、そのときと同じ値である。その後はいつ血液検査をしても、10とか8とか、よくても6で、いっこうに下がってくれなかったのだ。それが、とうとう減ったぞッ! おいおい、それと、ちょっとぉ! リ、リンパ球が! すごいことになっているゥー! <前回の値> 白血球全体の数 5800個/μl うちリンパ球の割合 10% <今回の値> 白血球全体の数 4800個/μl うちリンパ球の割合 19% 白血球全体は減っているけれど、リンパ球の割合はハネ上がっているぞッ! いろんな種類がある白血球のうちリンパ球の数が免疫力の高さを示すのだ。 えっと、これって個数に直すと……。暗算がニガテな私はその場ではわからなかったが、家に帰って電卓を叩いて驚いた。 <前回のリンパ球の数> 5800×10% =580個/μl <今回のリンパ球の数> 4800×19% =912個/μl げ、激増してる。約1.6倍じゃないかッ! うひょひょひょひょーっ! と、場面は病院に戻るが――担当医さんはモニタを見て、まじめな顔で話し始めた。 「ずっと、栄養状態の悪い、低空飛行が続いてしまっていますねえ。これですと、少なくとも、長生きはできません。松井さんは、もうクローン病になられて10年ですか。いまの体が当たりまえになって、慣れてしまっているのでしょうが、下痢も気にせず、おしりも気にせず、行きたいところに行ってやりたいことができる、そういうふうにもなれるんですよ。松井さんには松井さんのやり方があるのだと思いますが、それで良くなっているならいいんですけど、なっていません。どうですか。そろそろ発想を大きく転換して、レミケードをしてみませんか」 熱心な担当医さんが、この日の説得はいつもよりさらに熱心で、時間としては短かったのにずいぶんと長く感じた。く、空気重てぇ……。 担当医さんの視点では、この検査の値はよくなっていないのかもしれないが、私の視点では、今回はびっくりするほどよくなっている。いま、ここで、レミケード? マラソンのゴールテープが目の前にきているのに、ここでリタイアせよと? そんなわけにはいかない。 ああ、早く、もっと結果を出してお目にかけたい! しかし、まあ、あせってどうなるものでもない。最近のひどすぎた状態を思えば、これでじゅうぶん、大きな結果だ。 ◇ 数日後。 「どう? フラジールは効いてる〜?」 「はい、てきめんに効いてます」 松本先生と電話で話す。 「うん、そしたらこれ、1日4錠にするといいってわかったから、これからは4錠飲みなさい」 おおっ、それはまた楽しみ。 「で、いまいちばんつらい症状は何〜?」 痔瘻(じろう)です、といままでなら即答していたのだが、このごろは痔瘻までもが、ちょっと、いいのだ。明らかにおしりから出るウミが減った。 痛みも減った。少し前までは、あお向けに寝るにはおしり周りをクッションでかためてガードしなければならなかったが、いまはクッションなしで横になれるのだ。さすがにまだ座ることはできないが、少なくともこの日いちばんつらいのは痔瘻ではなかった。 「下痢です。1日15回から20回あります」 つらい症状の二番手だった下痢が、トップに踊りでたかたちである。 「そりゃしんどいな〜。よう耐えとる。そしたら水を飲まないといかん、電解質もとったほうがええから、スポーツドリンクも飲みなさい」 えっ? スポーツドリンク、飲んだほうがよかったの!? じつは、ひどいときは水を飲んでも下痢になり、吸収できている感じがせず、こりゃちょっとやばいんじゃないか、水分が足りていないかもしれない、スポーツドリンクを飲んだらどうだろう、いやいや、でもあれは、点滴みたいなもので、吸収しやすいどころか、しやすすぎて、腸を甘やかすことになる、あれはファイナル・ウエポン(最終兵器)だ、死にかけている病人が飲むものであって、ふつうに水が飲めるうちは、やっぱり水を飲むべきだ、そう考えて避けてきたのである。 だが、松本先生のご指示となりゃ話は別だ。さっそくアクエリアスを購入した。べつに「おれはポカリよりもアクエリ派だぜ」というこだわりのゆえではなく、こっちのほうが安いのである(笑) この日は熱が37.6℃であった。フラジールを飲むようになって発熱はほとんどなくなったが、それでもときどきはこうなる。ただでさえ免疫のリバウンドでグッタリしているので、熱が加わるとトイレのために立ち上がるのもしんどい。 「さ、アクエリ飲むか。久しぶりだな」 飲むと……いきなりおなかが痛くなった。とたんに、便意。腸反射ってやつだ。 あ、あれェ? これじゃ、ふつうの水を飲んだときといっしょじゃん。 ところが。いつものようなひどいピーピー下痢ではない。軟便である。 30分くらい休んでいると、ずいぶん気分がよくなってきた。熱を計ってみる。なんと! 下がっている! それからは、ひとくち飲んでは、すぐノドが渇くかんじがして、またひとくち飲み、ちょっとすると、また渇きをおぼえ、またひとくち飲み、をくり返した。こ、こんなに体が渇いてたのか。 そしてこの日から37.5℃をこえる熱はめったに出なくなったのである。 「もしかしておれ、脱水状態だったぁ!?」 すみません、死にかけている病人とは私のことでした……。 それにしても、すごいなアクエリアス。いまは枕元にアクエリアスを置いて、チビチビ飲んでいる。 どうやら、いまの私は、腸を甘やかしてはいけないんじゃないかとか、そんなこと言っていられない状態であるらしい。ファイナル・ウエポンでも何でも投入して、命をつながねばならぬ。 (つづく) ※松本医院での診療を希望される方は 松本医院ホームページ http://www.matsumotoclinic.com を 熟読のうえにも熟読されてからになさいますよう、 お願いいたします。 ◆ 編集後記  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ほんとうはポカリ派です(笑) ◆このブログはメールマガジンの記事をアップしたものです。 最新の記事は、メールでお送りしています。 無料購読するには今すぐここをクリック |