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松井 二郎
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アトピーとクローン病の意外な関係 [2011年10月07日(Fri)]

 前回から、

 「松井くんβ(ベータ)」

 を観察しています。


 この人は、実際の松井ではなく、
 架空の、「健康な」松井くん。




 おおっと!

 松井くんβのからだに化学物質が侵入したァ!


 これのせいで松井くんは
 クローン病になったんですよね、


 って、あれれ?


 健康な松井くんβは、クローン病にならずに、
 アトピーになっちゃったよ?


 これはいったい?




 ◆免疫寛容とは?
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 からだに異物が侵入してくると、

 免疫、つまり白血球たちは、


 「敵襲ー! 敵襲ー! きゃつらを絶滅せよ」

 と、


 まず【 IgG抗体 】というミサイルを
 ぶっぱなします。


 この "IgG抗体" は、対生物兵器。

 細菌やウイルスを殺すためのミサイルです。


 ところが、いま戦っている相手は、化学物質。

 最初から死んでいます。




 そこで免疫(白血球たち)は、

 いくらIgG抗体を撃ちこんでも敵が死なないので、
 殺すことは不可能と判断、


 武器を【 IgE抗体 】に切りかえます。




 この "IgE抗体" には敵を殺す能力はありません。

 そのかわり、
 体からヒスタミンなどの「かゆみ成分」を引きだし、

 本人に皮膚を掻(か)きやぶらせ、
 敵を体外に追放する、

 という力があります。


 これが湿疹の正体です。




 しかし、こんな戦いが有効なのは、

 一時的に少量の異物が入ってきたときだけ。


 食品添加物のような、
 永久かつ大量に入りこみ続ける化学物質を相手に
 こんなことをやっていたら、


 慢性の湿疹、

 アトピー性皮膚炎になってしまうのです。




 こんな戦いを続ければ、かえって自分自身が危ない。

 どうする? 白血球!


          ◇


 おーっとォ、

 松井くんβ、「かゆい、かゆい」と言いながら、
 それでも食事は続けています。


 このへんは本物の松井くんと変わらないようですね。


 では、再びカメラを体内に切りかえよう。




 「うおっ! なんだ? あとからあとから、
 死なない異物が入ってきやがる」


 白血球たち、とまどっているようです。


 「出せ! とにかくIgE抗体で外に出すんだ」


 「いや、だめだ、キリがねえ。
 このままIgE抗体を撃ち続けたら、
 敵を出しきるまえに松井くんβがやられちまう」


 「う〜ん、困ったなあ……。
 じゃあ、どう? こいつら何の悪さもしないようだし、
 もう、戦わなくっていいんじゃね?」


 「マジ? それでいい?
 んじゃ、今後コイツらが入ってきたときは、無視。
 戦わない、ってことで」


 「ラジャー、ブラジャー、炊飯ジャー」




 おーっとォ!
 白血球は戦いをやめてしまったァ!


 あ! すると、どうでしょう。

 松井くんβの皮膚に出ていた赤いプツプツが
 みるみる消えていく!


 どうやら、アトピーにならずにすんだようです!



          ◇


 このように、攻撃しなくていい相手に対して
 攻撃をやめることを

 【 免疫寛容(めんえきかんよう) 】

 といいいます。




 こうして、松井くんβは、病気にならずにすみました。

 よかった、よかった!


 ところが……


 本物の松井くんは、こうはならず、
 クローン病になりました。

 いったい、なぜ?




  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓


    免疫は、どんな異物とも最初は戦おうとするが、
    戦わなくてよい相手だと分かると戦うのをやめる。

    これを免疫寛容という。


  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛




 ◆難病になるかならないか、第2の分岐点
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ここまで、
 白血球たちによる熱い戦いのストーリーをお話ししました。


 ただし、

 これは「異物に対して敏感、かつ健康な人」の話。




 ここからは、

 「異物に対して敏感、かつ "不健康" な人」、


 すなわち、本物の松井くんには、何が起きていたのか?

 という話です。


          ◇


 その前に。ちょいと復習。


 架空の、健康な松井くん(松井くんβ)の体内で
 起きたことを振り返ってみよう。




 はじめは、見たこともない異物「化学物質」に対して、
 とにかく攻撃をしかけましたね。

 使われた武器は【 IgG抗体 】でした。

 これは生物を殺す武器。


 というのも、「体内に異物が入った」といえば、
 ふつうはバイ菌かウイルス。

 だから、正体不明の異物が侵入したときは、
 まずはとにかく「対生物兵器」をぶっぱなすことに、
 進化の過程で決まったのです。




 そこで白血球クンたちは、
 最初このIgG抗体を撃ちまくっていました。

 ところが、

 「こいつら死なねぇ」

 と見ると、
 ミサイルを【 IgE抗体 】に切りかえました。




 これは、殺せない敵を、殺さず体外に追放する
 平和的な武器なのです。

 そのかわり、本体(松井くんβ)に
 「かゆみ」が生じることになるのですが、

 殺せないものは追い出すしかないので、
 やむをえません。

 白血球たちは、このIgE抗体を撃ちはじめました。




 このように、武器(抗体)の種類(クラス)を切りかえることを、

 抗体の【 クラススイッチ 】といいます。




 さらに、このあと、

 「どうもこの異物は無害っぽいぞ。
 しかも、あとからあとから入ってきてキリがねぇ」

 と見ると、
 白血球たちはサッサと戦いをやめてしまいました。


 免疫は、無害の異物とは共存する道をえらぶのです。

 これも進化の過程で決まった生存法。


 これを【 免疫寛容(めんえきかんよう) 】というのでした。




 しかし……。


 本物の松井くんは、

 「ある原因」によって、


 "クラススイッチ" も起きず、

 その先の "免疫寛容" も起きませんでした。




 免疫が正常であれば、これらは、いとも簡単に起こる
 現象なのです。


 難病になるか、ならないか。


 第1の分岐点は

 「免疫が未知の異物を認識するかどうか」でしたが、


 つぎは、そのうえで「免疫が弱まっていないか」?

 ここが第2の分岐点なのです。


          ◇


 もし、免疫が正常で、クラススイッチができていれば、
 松井くんはどうなっていたのでしょう?


 じつはアトピー性皮膚炎になるはずでした。




 アトピー性皮膚炎とは、

 殺すことができない化学物質を、

 殺すのをやめて
 体外に放出しようとしたところまではいいのだけれど、

 それを永遠にやっている病気なのです。


 アトピーだけでなく、
 【 アレルギー 】といわれるものはすべてこの反応です。




 ところが、松井くんは、
 「ある原因」で免疫力が弱っており、

 "クラススイッチ" できず、

 アレルギーになりませんでした。


 そして、

 クローン病という
 【 膠原病(こうげんびょう) 】になってしまいました。




 "膠原病" は、「かゆみ」ではなく、「痛み」に苦しむ病気です。

 というのも、

 IgG抗体は、異物だけではなく、

 とばっちりで自分自身の細胞にもダメージを
 与えてしまうからです。


 カゼやインフルエンザを治す短期決戦ならばいいのですが、

 永久に入ってくる化学物質を相手に
 IgG抗体を使い続けると、


 その戦いの舞台となっている臓器がとばっちりを受けて、

 膠原病になってしまうのです。


          ◇


 それが私の場合は腸なので、クローン病になったのです。




 では、

 免疫力を弱めた「ある原因」とは何でしょうか?




 つづく!


  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓


    未知の化学物質が体内に侵入したとき、これを
    異物として検出できてしまう免疫の持ち主がいる。

    この人に、さらに「免疫が弱っている」という
    条件が揃うと難病になる。


  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛




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 ◆ 編集後記
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 クラス "チェンジ" なら
 『ファイアーエムブレム』でやりまくったんですが。




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